2019年3月16日(土)「スーパーアカデミア 最先端と最前線の超一級講座」は広尾学園が行ってきたキャリア教育の総決算となります。
この日は日本全国から、21世紀の最先端を究めようとする科学者、最前線で活躍するジャーナリストなど、日本の現在と未来を支える方々が広尾学園に結集します。
この22講座が、生徒たちの学問への憧憬の念を育て、文化や科学技術の高みをはるかに見上げる良い機会となることを願っています。
小学生5年生が導入した スーパー双子素数を実際に構成してそれらが無限にありそうなことを
確認する。
2次式を用いたスーパー双子素数の類似物を調べる。
最近導入された、スーパーメルセンヌ素数を調べる
企業や個人の経済活動は、国境を跳び越え、グローバル化しています。その一方、各国はそれぞれ国家主権を持ち、独自の政策やルールを決めています。ところが、各国の政策やルールがバラバラのままだと、グローバル化する経済活動にとって障害となりかねません。そこで、各国の政策の調整や共通のルール作りがますます重要になっています。それを担うのが、国際通貨基金(IMF)や世界貿易機関(WTO)などの国際機関です。世界において重要な地位を占める日本は、国際機関の運営にも相応の役割を果たしていくことが求められます。
2015年より、渋谷の道玄坂・円山町というど真ん中に畑と田んぼを作り、都会だからこそ必要な「自分の食べ物は、自分で作る」ための農的な暮らし方を実践、提唱してきました。そして、昨年には、都市に農業を実装するアーバンファーミングに特化したNPO団体『アーバンファーマーズクラブ』を設立し、約250名ものメンバーと一緒に渋谷で野菜やお米を育てています。未来の社会を担うみなさんに、なぜ、都会のど真ん中で野菜やお米を育てることが必要なのかをお話ししたいと思います。
新しい検査方法が次々に開発され、人間の脳の活動(機能)がかなり詳細に分かるようになってきました。しかし、まだまだ謎に満ちているのが錯視の世界です。そのものを実際に見ているのに、脳が勝手に勘違いしてしまいます。大小や長短の錯視、色の錯視、動きを感じてしまう錯視、などについて御紹介します。また、上下逆転メガネや左右反転メガネを使った実習も計画しています。 頭の中では理解しているのに、どうしても自分の思うように動けない不思議さを実際に体験してみてください。
工学部で開講されているヒューマンインタフェース(HI)は,心理学,行動科学など「人」を対象とする学際的な科目として文系の学生にも人気のある講義です。HI研究者は,うっかりミスをする原因がミスをした人自身にあるのではなく,システムや環境にあると考えます。本講座では視覚・聴覚の錯覚や,行動や記憶がもたらすエラーを実際に体験してもらい,その防止法を想像力と創造力を駆使して考えていきます.そして,本講座の真のテーマである「ヒューマン最高スキル《想像力×創造力》」を転生なしで覚醒させることを目指します.
近年、弁護士の仕事はとても多様になっています。そのベースになる能力は,人と社会の問題に正面から向き合い,答えのない問題について一生懸命考える力です。では,実際に弁護士はどうやって「考える」のか。弁護士が普段行う法的な考え方(リーガルマインド)について実際の事件の話も交えてお話します。具体的な事例についても一緒に考えてみましょう。「答えのある知識は“Google先生”にお任せする時代」に生まれた君たちが,変化のはやい未来を生きていくために必要なものは「考える力」かもしれません。
最近、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)が収集・利用している個人情報データについて規制すべきとの議論が、日本国内だけでなく、世界的に行われています。IT社会では個人に関するデータが必要不可欠ですが、プライバシーなどの保護も必要です。 この授業では、AIなどの利活用の際に個人情報データを利用するためのわが国の法制度について概観したうえで、これからの法制度の設計のあり方について考えていきたいと思います。
アンモナイト、恐竜、始祖鳥、過去数十億年の間、地球上で様々な生物が多様な進化を遂げてきました。彼らが残した重要な情報である化石、そしてそれらが埋まっていた地層は、地球が長い時間をかけて作り出した天然のビッグデータであり、膨大な情報を読み出すことができます。この講義では「恐竜マップ」と呼ばれる地図をもとに地球と進化の歴史を紐解きます。また人工知能やドローンを使った最新の研究方法もご紹介します。
「宇宙の始まりを再現する」という巨大施設を、東北地方の北上山地に誘致しようという計画がある。2つの素粒子を光速近くまで加速して衝突させ、宇宙誕生から1兆分の1秒後という極めて高いエネルギー状態を作り出す施設で「国際リニアコライダー」と呼ばれる。だが、この施設には8000億円という巨額のお金がかかるため、誘致に反対する声が上がっている。背景を探ると、日本の科学技術力が抱える問題が見えてくる。講義では、施設の詳しい仕組みや誘致を巡る背景を解説する。
超伝導体は低温で電気抵抗が消失するため、電気エネルギーをロス無く遠方に輸送することが出来ます。また、磁石の上で浮上することも出来ます。その他低温で起こる興味深い現象を実験を通して学んでいきます。
現代では、思考のツールとしてのプログラミングを活用し、効率的に思考を行なって新しい知識を発見・創出するスキルが求められています。本講座では、数学的な探求を例にとって、プログラミングが思考のツールとして、どのように利用できるのかを見て行きます。計算は、それが得意な計算機に任せ、対象の性質やその構造を探求する思考に集中するための、一風変わったプログミングの活用方法について紹介します。受講後には、対象に関する感性を養い、それを確かめ、さらに探求するといった思考の方法に対する理解が深められるでしょう。
大ヒットしている原泰久氏のコミック、キングダムが4月に実写映画として公開されます。天下統一をめざす政(秦の始皇帝)と大将軍をめざす信(李信)の物語です。映画の中国史監修を担当した立場から、映画とコミックを紹介し、私の始皇帝論(『人間・始皇帝』岩波新書)を語ります。映画ではできるだけ二千年前の古代中国を再現するように、美術監督と丹念に打ち合わせました。コミックと歴史研究の接点がどこにあるのか、みなさんに考えてもらいます。
皆さんはスマホやカメラでムービーや写真を撮った事はありますか?撮った事があるとしたら、それはどんな気持ちで撮りましたか? 昨今、4KやVRなど技術は進化していますが、ヒット映画やムービーには、共通している事があります。 それは“人の目線に立つ”ということ。私はCMの演出をする事が多いのですが、どんなジャンルの映像でもこの目線は欠かせません。それはどういう事なのか。それによって何を生み出せるのか。演出家としての立場からお話し出来ればと思います。
今、AI社会の実現がすぐそこまで迫っています。もはやプログラミングをする必要もなくなる社会になるかも知れません。同時に、まったく新しい概念で動く量子コンピューター、生物と機会を融合するサイバネティクス技術など、これまでのデジタル技術の価値を根本から変えるデジタル革命が今、同時に迫ってきています。パーソナルコンピューターやスマートフォンの登場など、過去のデジタル革命はどのようにして人々の社会や生活を変えてきたのか。そこからどんな未来のパラダイムシフトを予想できるのかを考えます。
人類の歴史に「美」という概念が生まれたのは日本ではおそらく縄文時代に遡る。それから何万年もの間に私たちは科学、哲学、芸術とともに文明を築いて来た反面、今日もまだ戦争や紛争はなくなっていない。 その中で芸術の意味や役割とは、そして芸術に携わるとは、またその分野ではどのような仕事があるのだろうか。芸術と社会の結びつきや国内外の様々な事例、そして講演者自身の仕事―"天命反転"を唱えた荒川修作とマドリン・ギンズの仕事―を紹介しつつ、みなさんと共に芸術の力、アートの世界の豊かさについて考えたい。
デザインと経営をつなぐという観点で、地方の食のブランディングの事例をお話しします。 地方創生という言葉をさまざまな場所で耳にしますが、この時間では食を通じて地域を盛り上げていくことについてお話をできたらと思っています。 日頃から食べている食に、少し気づきと発見をしてもらえたら嬉しいです。
古来、自然は神秘に満ちており、星空の神秘が星占いを生んだように、自然の神秘の中に人間はさまざまな意味を見出してきました。しかし、近代科学の発展は、自然の神秘を単なる機械的運動の結果として説明することを可能にし、現代の我々にとって神秘の領域はとても限られています。それでもなお我々人間の「こころ」は未だ神秘の領域として残っています。認知科学や人工知能はその神秘への科学者の挑戦です。そこには可能性と同時に、数理的限界や哲学的限界を巡る議論があり、本講義では認知科学や人工知能の限界を巡る議論を紹介します。
獣医師はある意味クレイジーなお仕事です。私の働く小動物(犬・猫・フェレット・ウサギ)臨床獣医師とはどんな仕事なのか。専門的な手術(脳外科、心臓手術など)の動画、あなたが獣医師ならどうするのか?色んなことを私と一緒に考え、今年も眠くならない授業を目指し皆さんと一緒に楽しく1時間ジャーニーできれば最高です。
都会と田舎の医療の違いをできるだけわかりやすくお話ししたいと思います。TVや映画では医師や看護師の華々しい姿が取り上げられますが、医療に携わる人間の少ない中で住民の方々の望みに応えるために、現場の我々がどう工夫し対応しようと考えているか、その一部でも理解し興味を抱いてもらえれば嬉しいです。
日本は天災が多い国でしょう.地震,台風,噴火,火事,雪崩,洪水,津波.これらの問題にはいつも悩まされます.世界にも困難な問題があふれています.貧困,飢餓,戦争,平等,エネルギー,教育,干ばつ,・・・SDGs(Sustainable Development Goals,持続可能な開発目標)とは,国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標です.そんな大きな問題と数学がどのように関係するのでしょう.数列とか微分積分とか証明とかが役に立つのでしょうか.実は,数学で必ず現れる「定義,定理,証明」は,ものごとの論点をはっきりさせること,そして,他人に共通言語で客観的に説明すること,がその本質にあります.つまり,問題解決に必要な第一歩の手法を数学は持っているのです.本講義の目標は,身近な問題や現象を通して,大きな問題に立ち向かう数学の姿をみなさんと一緒に,そして「楽しく」共有することです.数学はやはり数楽でなくっちゃ!
第二次世界大戦後のアメリカ・旧ソ連の冷戦を背景として展開された人類の月着陸を目指す競争は1960年代の10年間に激しく展開されました。そして60年代最後の1969年7月、アメリカのアポロ11号によりついに人類は月に到達しました。今からちょうど50年前のことです。 この時人類は、その種としての誕生以来数百万年もの間持ち続けた最も古い夢を実現したのです。その激しかった米・ソの宇宙開発競争の流れと、命をかけてでも宇宙に向かう宇宙飛行士のミッションについて考えてみます。
深海は動物にとって地球における最大の生命圏であると同時に、水圧の壁に阻まれて調査が最も困難な「ラスト・フロンティア」でもある。今回は、その中でも特異な「深海のオアシス」と呼ばれる深海化学合成生態系に生きる、鉄の鱗を持つ「スケーリーフット」や口を欠く「チューブワーム」などの動物たちがどのように「エクストリーム」な環境に適応したのかを、最新の研究データを交えて紹介する。さらに、現代の深海調査の現場がどういうものなのかを紹介し、未来の深海調査の在り方を考える。