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2019年度シラバストップ > 高Ⅱ年6組 > 理科 > 物理基礎

教科
科目
学年・組
授業時間
担当者
理科
物理基礎
高Ⅱ年6組
週4時間
必修選択
秋田・清水

到達目標


 この世界を支配する最も基本的な、究極の法則はなにか?一見違うものに見えるいくつかの現象は、実は同じものではないか?この問に対して非常に多くの研究者達が日夜議論を交わしています。この授業では、人類が積み重ねてきた過去の遺産を通じて、新しいアイデアや概念がどのように生み出されてきたかあるいはどのように統合されてきたのかを感じてもらいます。

 より具体的には、到達目標として以下の各項目を据えます。

1.各物理量の定義を理解し、そこから導かれる公式の意味を味わう
2.さまざまな公式が導出される過程とその必然性を理解し、自身で議論を再現できる
3.未知の(初見の)現象にたいして、物理学の原理主義的な態度からアプローチできる

さらに、これらの目標達成を通じて、

4.自然現象に宿る法則の数式的な表現と直観的なイメージを自由に行き来できる
が実現できれば最高です。

授業の進め方・学習方法


【進め方】
 授業は、板書やプリントを主に使用し、必要であれば映像資料や演示実験を適宜取り入れます。配布資料や教科書・ノートという基本的なものを準備した上で授業に出席することを求めます。

【学習方法】
 自然現象の原理を追及し、その本質を見極める探究心を持てるかどうかが、理科の実力がつくかどうかのカギです。わからないことがあるのが当然であり、それに対してどうアプローチするか?なぜそのアプローチをしたくなるのか?と、内容について常に問をつくることを意識しましょう。
 また、授業で議論するさまざまな内容を自分自身で再現する練習を積みましょう。定義から出発して、論理の必然性を追いながら定理(公式)の導出を行い、各概念の相関図から全体像を把握しましょう。この後でもまだ余力がある場合には、問題演習に進みましょう。いろいろとコツはありますが、ここに書くにはスペースが足りないので授業の中で適宜話していきます。
 「理解しよう」と思うと教科書やテキストを何度も再読する人がいますが、実はその行動にあまり効果は高くありません。単に繰り返し読むのではなく、「問」を作ってから読み始めましょう。あるいは、知識を覚えることを遠ざけすぎないように気をつけましょう。知識というものは単なる字面の暗記ではなく、複数の事実や事項から考え出された成果物でもあります。不細工でもいいですから、あらゆるものを自分なりの言葉で表現してみましょう。そうして自分の中に新たな知識・体系が広がっていくことを楽しんでください。

授業スケジュール


学期
学習内容
1学期
~1学期~【運動方程式を用いた解析方法に親しむ】

第1編 力と運動
◎運動を特徴づける物理量として、最も重要な速度や加速度を定義する。
 第1章 運動の表し方
  1.速度
  2.加速度
  ※数学的な操作

◎加速度が一定という簡単な一次元の運動を用いて、運動を解析する基礎的な方法に慣れる。
  3.落体の運動(自由落下)

◎質量や力といった概念を定義して、運動を解析するための“枠組み”をつくっていく。
 第2章 運動の法則
  1.力とそのはたらき
  2.力とそのつりあい
  3.運動の法則
 ※第5章2節 慣性力

◎基本的な枠組みのもとで、具体的な例を通じて運動を解析する
  ※第1章3節 落体の運動(鉛直投射、水平投射、斜方投射)
  4.摩擦を受ける運動


【ポイント】
運動の三法則(慣性の法則、運動の法則、作用反作用の法則)が互いにどのような関係にあるかが重要です。また、慣性力は“見かけの力”ですが、見かけとは一体どういう意味か?など、ひとつひとつの概念を説明できるようにしましょう。どれが定義で、どれが定義から導かれるべき公式であるかを常に意識しましょう。公式の導出過程には、なぜその方針を取るのか?という必然性が必ずあります。


【1学期中間試験】
 基本的な運動の解析方法の枠組みや実用方法に関して、習熟度を測ります。単に公式の形や代入計算の結果だけではなく、どの程度まで概念を理解して、どの程度詳しく丁寧に自身で議論できるようになっているかを重要視します。
 また、授業内で解説した内容はもちろん、それに対応する問題集内の問題についても出題範囲とします。これは以下の各試験でも同様です(以下、記載を省略)。
1学期中間試験
1学期
◎これまでは、質点の運動を運動方程式という観点から学んできた。ここでは、運動方程式を積分していく一般的な手法とともに「運動に付随する保存量」という観点から運動を解析していく。
 
※運動方程式の積分:運動量と力積、仕事とエネルギー

中学で学んだエネルギーという概念をより深く学ぶ。
 第3章 仕事と力学的エネルギー
  1.仕事
  2.運動エネルギー
  3.位置エネルギー
  4.力学的エネルギーの保存

【ポイント】
エネルギーは非常に抽象的な概念です。「エネルギーとは何か」については現代物理学の中でも未だに正体がわかっていません。ただ、孤立した系における保存量だということだけがわかっています。このような抽象的な概念を用いるときには、議論の流れと必然性を自身で再現できるように訓練することが習得への近道です。
ただ単に結果を使えるようにするのではなく、自身がしている立式が持つ意味を理解した上で使えるようにしましょう。

◎質点に働く力として非常に応用範囲が広い中心力と弾性力について、運動の様子を理解する。
 第5章 円運動と万有引力
  3.単振動
質点間の相互作用に着目し、その取扱いについて学ぶ。
  1.等速円運動
  4.万有引力
  ※回転運動における有効な手法として、角運動量の取扱いについても触れる。
 
【ポイント】
 数学的な難しさが次第に現れ始めるが、惑わされずに物理的な直観を常に働かせよう。単位が違うものを足し引きしていないか、質量が非常に大きいなどの極限的な状況で物理的な直観と一致するか、などによって結果の正当性はある程度保証される。

1学期期末試験
1学期中間試験の内容を含め、1学期の授業を通じて学んだすべての内容とそれに関連する事項を出題範囲とします。
ある一つの現象が運動方程式だけではなくエネルギーという抽象的な概念を用いても理解できること、新しく定義された物理量の意味やそこから導かれる結論を把握しましょう。
1学期末試験


学期
学習内容
2学期
~2学期~【一粒子系から多粒子系へ】

◎運動量に関連する運動(衝突や分裂)について解析する。
 第4章 運動量の保存
  1.運動量と力積
  2.運動量保存則
  3.反発係数
運動量が保存する条件とエネルギーが保存する条件は一致していないことに注意すること。

【ポイント】
そもそも衝突とはなにか?を捉え、反発係数の定義や運動量保存が成り立つ根拠などを説明できるようにしましょう。

◎これまでの質点(多くても2粒子)についての力学を、多粒子系に拡張する。
 第2章 6.剛体に働く力のつりあい
質点の個数が増えれば増えるほど、系全体の振る舞いを決定することは困難になる。ところが、剛体と呼ばれる特殊な理想化のもとでは、無限個の粒子からなる系であっても解析が可能になる場合がある。

 ※回転という運動を記述する方法として、角運動量と力のモーメントの関係を導入する。

 第2章5.液体や気体から受ける力
剛体よりも「緩い」条件である液体や気体から受ける力(たとえば圧力など)による運動を述べる。ここでは、液体や気体それ自体の運動については議論しない。

【ポイント】
実際に方程式を立てて解くことは容易である(実際、この単元は教科書の第2章の内容)。しかし、より重要なことは、剛体近似のもとで、方程式の形がどのように制限されて簡略化されるか、あるいは系の方程式を解くことができる理由はなにか、そもそもなぜそのような方程式を作りたくなるのか、といった本質的に重要な点を理解することである。


2学期中間試験
 2学期の初めから中間試験前最後の授業の間に取り扱った内容とそれに関連する事項を出題範囲とします。本試験では、エネルギーや運動量、あるいは角運動量といった視点から運動を理解できているかどうかを確認します。特に、それぞれの保存則はどのような条件で成立するものなのか、立式に際してその条件を確認しているかどうかを重要視します。また、質点系の力学の総まとめとして、剛体の運動がなぜ簡単に解析できるのか、実際にどのような現象が例として挙げられていたか、などついて体系的な理解を問います。また、1学期で学んだことが基礎となっているので、1学期で学んだ内容とも少なからず重複する部分もあります。
2学期中間試験
2学期
◎これまで着目してきた「質点」という“ミクロな”対象から、非常に多数の粒子からなる“マクロな”系の状態遷移を記述する熱力学に議論を移す。

まず、気体の分子運動のマクロな帰結として得られる圧力について、力学の観点からその性質を学ぶ。
続いて、「熱」という量を力学的な仕事を通じて定義する。


第2編 熱と気体
 第1章 熱と物質
  1.熱と熱量
  2.熱と物質の状態
  3.熱と仕事
この章では。熱という概念の定義を正確に把握するのがとても重要です。力学的な仕事を通じて、エネルギーの移動の仕方の違いにより熱を定義しています。

 第2章 気体のエネルギーと状態変化
  1.気体の法則
  2.気体の分子運動論
気体の分子運動に着目することで、気体の温度や圧力といったマクロな物理量がミクロな視点だとどのような意味を持つのかを明らかにします。ただし、熱力学はあくまでマクロ系の理論であり、ミクロな物理に基づいて構成されているわけではないことに注意しましょう。マクロな物理量を、ミクロな物理量と対応付けたに過ぎません。

  3.気体の状態変化
  4.不可逆変化と熱機関

【ポイント】
熱力学の総仕上げとして、熱力学第一法則を中心に置きつつ、熱平衡状態の移り変わりを議論していきます。ここでは代表的な4つの過程を学びますが、それぞれの過程の定義はなにか、その定義のもとで熱力学第一法則がどのように書き下されるか、などに留意しましょう。熱力学は、全体像を構築できるかどうかが理解のためのコツです。

2学期期末試験
2学期中間試験の内容を含む、2学期の授業を通じて学んだすべての内容とそれに関連する事項を出題範囲とします。中間試験範囲については、対応部分の記述を参照してください。
 熱力学については、ポイントとして挙げた内容がとても重要です。マクロな系というある意味ではブラックボックス的なものを扱うためには、理論(考え方の枠組み)を把握することが再優先事項であり、この点についての習熟度を問います。その上で、具体的な熱機関の取扱いについても親しみを覚えられるようにしておきましょう。
2学期末試験


学期
学習内容
3学期
~3学期~【現代物理の発展の基礎となる概念を構築】
現代物理学において最も重要な分野でもある振動について理解していく。まずはじめに波の定義を述べ、媒質中のある一点の運動が周囲へ伝わっていくイメージを持つ。

第3編 波
 第1章 波の性質
  1.波と媒質の運動
  2.波の伝わり方
 第2章
  3.ドップラー効果
 波の一般式は、おそらくみなさんが初めてまともに扱う2変数関数です。一般式は扱うことが重要なのではなく、導出過程を理解して自身で導き出せるようになることこそが重要です。慣れるまではイメージしにくい内容ですが、数式が持つ意味を常に考えていきましょう。物理とはそういうものです。
 音のドップラー効果は、幾何学的な導出過程を自身で再現できるようにすることが求められます。特に、どのような座標系のもとで議論をしているのか、選んだ慣性系に依らない物理量は何かなどに着目しましょう。

次に、波の応用例として、音(空気の疎密波)の振る舞いを学びます。
 第2章 音
  1.音の性質
  2.発音体の振動と共振・共鳴
  弦や気柱が音を発する理由とその仕組みについては、前章の応用という側面が強く、第3章の内容とともに波動の総まとめとして身近な自然現象に説明を与えます。

3学期 学年末試験
 学年末試験では、1、2、3学期で学んだすべての内容が出題範囲となります。1、2学期からの出題については、対応部分の記述を参考にしてください。
 波動分野では、波の基本式の導出を丁寧に言語化できているかどうかや、波の一般式の導出が最初に重要となるポイントです。その上で、現実的な例として、さまざまな状況におけるドップラー効果などの諸公式を必然性に基づいて導出できるようになりましょう。このあたりの習熟度が試されます。

 学年末試験では、1年間で学んだ内容がどれだけ体系化されているかも重要視します。個々のトピックスだけを個別に理解するのではなく、それぞれがどのような関係にあるのかまで意識を向けておくことを勧めます。
学年末試験

成績評価方法


種別
割合(%)
評価基準など
定期試験
60
・課題の提出状況および達成度
・授業での学習に対する姿勢
・小テストの達成度
などをもとに平常点を算出する。
レポート
0~40
小テストなど
0~40
授業での取り組み状況
0~40

教科書・教材/参考書/参考サイト


教科書・教材
書名
出版社
教科書番号/code
備考
総合物理1・2
数研出版
物基/306
教科書
体系物理
数学者
問題集:原理導出問題が豊富

参考書
書名
著者
出版社
コード
備考
実践・物理重要問題集
数研出版
単元別入試演習。解説が丁寧。
橋元の物理をはじめからていねいにシリーズ
橋元 淳一郎
物理のイメージがまったくわかない人向け。初心者用。
理論物理学への道標(上・下)
杉山 忠男
河合出版
諸現象の背景を知れる。演習部分もあり、最難関大志望者で物理を得点源にしたい人向け
新・物理入門
山本 義隆
趣味用。大学初年度レベルの内容から体系的に物理学を学べる。
物理教室
河合塾物理科
河合出版
教科書+例題。バランスの良い記述。授業の予復習にちょうどよいか。
物理基礎・物理のすべて
中野 健一朗
KADOKAWA
辞書的に細かく使える。やや記述が冗長な部分もある。

担当者からのアドバイス


 物理では、すでに学んだ内容をもとにして新たに理解を進め、有機的なつながりを感じていくという場合が非常に多くなります。そのため、ハイレベル、ハイスピードな授業展開についてこれるように復習を確実に行いましょう。
 この概念を説明できるか?10歳の子どもに教えるならどう話すか?その概念を使って表されているこの式の意味はなにか?それが成立する根拠は?その背景にはどんな原理があるのか?他の場合に応用は可能なのか?など、知的好奇心を最大限に刺激して考え続けましょう。
 物理学は、あなたの飽くなき知的好奇心にどこまでも耐えうるであろう学問です。